本棚を整理していたら10年前の「アエラ」が出てきた。あら、どこぞで見かけたお方、「Desire」よろしくこちらを睨み付けているのは、かの田島貴男ではないか。有名誌の表紙飾ってたんだ。


私には昔から収集癖があって、20年前「ORE」という雑誌に、当時12歳の後藤久美子が初めて出ていたのだが、いまだに捨てずにいる。立ち読みでたまたま見かけた彼女のあまりの可憐さに心奪われて、めったに買わない種類の雑誌をゲットしたというわけ。


さて、「アエラ」であるが、まず表紙の田島の若さが目に付く。ボクササイズなどをやる必要が無いくらい痩せている。そして、この人、顎が貧弱である。現代人の典型で、あまり硬いものを噛まずに、ファーストフードばっかり食べて育ってきたのか。また、人相学的には情緒に欠けるということだから、燃えるような恋愛とか友情とかとは無縁の人かもしれない。(何となく田島研究始まってる?)


記事をかいつまんで紹介する。96年12月16日号72ページの「表紙の人」である。


「体を折り曲げるような礼をしながら待ち合わせ場所に現れたその男が『ロック界一の伊達男』田島貴男だとは、ぜんぜん気が付かなかった。だって、格好がジミすぎる」。

「が、心配は無用だった。スタジオに入るや、お付きのスタッフ3人がてきぱきと化粧を施し、衣装を着せた。魔法のように、どこかの雑誌のグラビアで見た『ポップ・スター田島貴男』がそこに立っていた」。


まさに彼に対する賛辞が、簡潔なキャッチコピーで表現されている。「ロック界一の伊達男」「ポップ・スター田島貴男」。ただ、「スター」は個人的にいただけない。にしきのあきらのコミカルな空虚加減を連想させるではないか。


「音楽にうるさい男性ファンにも、目の肥えた女性ファンにも愛される、希有の存在なのだ」。


これは本質を捉えているだろう。特に、ルックスはともかく、耳の肥えた連中を唸らせる音楽的力量を持っているということには十分納得がいく。まさに「ミュージシャンズ・ミュージシャン」なのである。


「贅沢を好まず、仕事には一生懸命。優秀。言われたことは守る。家族を大切にする。そう、どこの職場にも一人はいる、模範社員みたいな男。それが田島クンだ」。


えらくベタ誉めしている。真面目なロックンローラーってとこか。長年同じことを続けるには矢張り「真面目さ」が必要だってことか。同じミュージシャンとして田島もリスペクトしている矢沢永吉の「なりあがり」読んでてても、永ちゃん意外と(?)真面目な堅い人だ。麻薬に走る周囲の者をたしなめてるし。


溢れる才能、そしてそれを下支えする緻密な理性と根気。「時代の仇花」「破滅型」という言葉からは一番縁遠い人なのであろう。日夜研究、勉強、向上・・・。田島を見ていると、適度に人懐っこく、適度に偏屈で、適度に頭脳的で、適度に周囲から一目置かれている「職人」を彷彿とさせる。